少し書こうと思ったきっかけは
ChemStationさんのコラムを読んでいて考えることがあったので。
http://www.chem-station.com/blog/2013/04/post-505.html#.UVwkZkLlMS4.twitter
私は企業に就職したあとに、退社し博士後期課程に進学しました(修士は出ていたので)。友人や知り合った方に略歴を言うと必ず
・何故進学したの?
・将来なにするの?
・すごいね、勇気あるね。
これがセットで返ってきます。さらに、この中にも単純な質問として聞く人、裏を読んで聞く人の2通りがあります。
単純な質問の場合はまぁ博士課程という制度そのものをあまりご存じない方が多いので、正直に対応していますが、後者の方は色々思うところが合って聞いているようです。
・博士は出口が無い
・ただでさえ就職難なのに
これが大抵裏に隠れている理由で直接的には言われませんが、心配や呆れた感じで聞く方が多いですね。
しかし、今のところ私はこのような不安に駆られることが全くないのです。本当に全く!楽観視しているだけかもしれませんが、むしろ博士学位を取ることで有利に働くとさえ思っています。
学位がある方が有利!
学位が無いと付けない職業はたくさんあります、教授なんてのもそれの一つです。しかし、逆に学位があるために付けなくなる職業は無いでしょう。(給料を望まないなら)学位必須の職業で専門性を活かそうと思うと確かに大変だと思います。若手のうちはポスドクや任期付採用、研究員、等々。パーマネント職が限られた中で自分の売り込みをしつつ成果を出さないといけないのでそれ相応の覚悟と根性が必要です。
私もそういった職に就くのが目的で博士課程進学を決めていますので、成果を出さなくてはなりません。
しかし!
学位を活かさず、専門性重視しない、職に就くだけならいくらでもあると思います。
大卒する普段は取らない企業だって沢山あるわけですから!
力仕事や肉体労働は博士卒業の学生にはダメかもしれませんが・・・(もやしっこなんでね・・・)
選ぶ自由、選ばれる自由
また、私は転職活動をしていた時期がありまして。その経験から言うと、新卒採用より中途採用(キャリア採用)の方が確実です。新卒採用はすっぴんの学生を、今後の成長に賭けて大量に採用します。だから、配属希望なんかも通りにくいし、異動もしづらいことが多いです。さらに配属先でその部署適性が伸びるような教育をしますから、他の部署(業種)へは日に日に異動できなくなります。
一方、中途採用は欲しい人材だけを採用します。転職斡旋の人曰く、履歴書通過率が2割程度だそうです。履歴書見て欲しくなかったら、面接すらしない。これは新卒採用と全く逆です。その代わり、面接まで行けば大抵通る、お互いの利害の一致だけですからね。
新卒採用の場合どうか
博士卒27歳以上、いらぬ知識ばかり有
修士卒24歳、知識なんてなし
当然、企業は洗脳しやすい修士卒を取りますので、ここでの勝負は目に見えています。こんな土俵で戦っていては博士に勝ち目はありません。
だって選ぶ自由も、選ばれる自由も制限された土俵ですから!
でも世の中はこのような見方がほとんどのように感じます。確かに学生は新卒採用の土俵しか知らない、会社の仕組み、社会の仕組みを知らない。ただそれだけで、博士卒の学生は不利な土俵に上がって行くように感じます。周りがそうさせているのかもしれません。
では選ぶ自由、選ばれる自由のある土俵に上がればいいじゃないか!
ピンポイントで知識人が欲しい場合もあるでしょう。別に学位の内容に限りません、それ以外の自分の長所を押し出して、その点で利害が一致する企業と中途採用契約を結べばいいだけです。
そう考えると、私は博士の方が選ぶ選択肢が広がるように感じます。
「足の裏の米粒」って言葉があるんですね。初めて知りました。
確かに足の裏に付いたら汚くて食べられません。
だけど、精米して洗ってあげれば充分おいしく食べられます。
収穫した米は一粒ずつ吟味しますか?腐ってても放置です。
足の裏に付いた米は一粒ずつ確認するでしょう?
博士は考える力があるんだから、もっと自分を精米して、足の裏にくっつけばいいですよ!